スタイリスト森岡弘
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Blubello
トークセッション「柄」編
スタイリストであり、ファッションディレクターとしても活躍する森岡弘さんをお招きし、スタイリング美学について教えていただくトークセッション第2弾。今回のテーマは「柄」について。ストライプやチェックといった柄の組み合わせ、取り入れ方についてお話しを伺いました。
シーンに応じて使い分けできるように、
「柄」が持つ意味を知っておくこと。
Blubello(以下:B):ストライプやチェックなど、取り入れ方次第で見栄えや印象が変わってくる柄について最近感じている事や注目している事はありますか?
森岡(以下:森):色と同様に、スーツにおいて柄も非常に重要な要素であることは間違いありません。最近では企業のドレスコード、着こなしのルールがだいぶ見直されて、カジュアルデーが多くなっていますよね。そういう意味では、これまでの既成概念にとらわれず少しハズそうっていうのもアリな時代になってきました。そういう背景もあって最近では「チェック柄」を着たいという人が増えているように感じています。
B:定番のストライプ柄はよく動きますが、確かに店頭に立っているとチェック柄を求めている人も増えた気がします。
森:着用すると少しだけお洒落に見えるというか、洋服を遊んでいるように見えるんですね。オーバープレイドと言われるような大きい柄や複雑なパターンもチェック柄の一つとして考えることが多くなりましたよね。今の時代ならどんどん着て良いと思いますよ。
B:森岡さんが面白いと感じる柄の取り入れ方はありますか?
森:無地のネイビースーツに、ソリッドタイ、そして柄の入ったシャツかな。シャツはクレリックでもいいし、チェックでもいい。1柄で個性をアピールできて、なおかつそれをシャツで取り入れるっていうところが面白いかなと思います。
ドレス寄りか、カジュアル寄りか
柄の種類で印象は大きく変化する
B:柄物を選ぶ、着るときに注意すべき点はありますか?
森:やはり、柄が持つ意味を知って着た方が良いと思います。大柄はドレスコード上ではNGです。つまりビジネスにおいても本来は控えた方が無難でしょう。ただ、今の時代ですから、普段のスーツとして太幅のストライプを着るのは良いとされています。だけどプレゼンや会議のときはやめた方がいいかなって思える使い分けのできる男にならないと、間違えてしまう可能性がありますよね。
B:カジュアルスタイルが増えたといえ、場面を踏まえた上で着こなしのルールは守るということですね。
森:そうですね。変わったとはいえ、今まででは着てはいけない色・柄もあったと思うんですね。キラッとした光沢の強い生地やパープルっぽい色味、グレンチェックとか千鳥格子とか。この辺りが許されたとしてもTPO、ルールを知った上で楽しむべきだと僕は思います。
B:会社によってはそこの線引き、判断がむずかしいところもありますよね。これだけは知っておくべき、ルールがあれば教えてください。
森:線の幅が広く、太くなればなるほどカジュアルに見える。それが狭くなったり、細くなるとドレッシーな印象に向かいます。まずはこれを知っておけば、自分のスタイルがどっち寄りなのかを把握できると思うので、そこから調整すれば良いと思います。それから、ビジネススタイルの柄はストライプまで。そしてチェックはビジネスの柄ではないと知っておけば、あまりにも大きな柄はマズイよなって判断できると思うし、シャドー系の柄であれば無地に見えるからOKだなって使い分けできる目安になると思いますよ。
柄の組み合わせはメリハリが大切
大柄を取り入れたら小柄も忘れずに
B:こちらにダブルのストライプスーツを用意しました。Blubelloでも人気のある1着です。
森:スーツの柄は細いストライプですけど、ピッチ幅が広いし存在感ある1着だと思います。役職の高い人、年齢の高い人が着るとよく似合うんじゃないかな。コーディネートの合わせ方で見ると、無地のタイに無地のシャツだから1柄ですよね。全体がキレイにまとまっていて、幅広のストライプが活きて見えますね。個性のあるダブルだし、普段使いでこういった主張の強いスーツを着用するならシンプルにまとめた方がセンス良く見えると思います。
B:柄同士の組み合わせについて、コーディネートのコツがあれば教えてください。
森:2つ、3つ柄物を取り入れるのであれば、大小をつけたほうが上手くいくと思います。大きい柄を入れたら、小さな柄も取り入れる。ピッチの幅で落差をつけてみるのも面白いでしょう。僕の場合はこうやってメリハリをつけると、同じような柄同士でも喧嘩せず、最終的にはバランスよくまとまります。
B:柄の使い方を覚えておくと便利ですよね。
森:そうですね。あと柄物を組み合わせるときに覚えておきたいことがもう一つ。ストライプのアイテムには、ストライプを合わせた方がやっぱりしっくりくると思います。ストライプにチェックを合わせると大体ゴチャゴチャし始めますから(笑)。というよりも、ここにはちょっとしたテクニックと経験が必要になってくるんですよね。洋服は着る人ありきですから、理屈だけ知って真似しようとすると失敗します。なので、まずは正しく着て、正しい中で少しずつ自分の好きな柄やその意味を理解して、着こなしを確立していく。そうすると自然と柄を上手に取り入れることができるようになるので、遊ぶことが楽しくなってくるんですよね。それが自分だけの個性となって、自信にも繋がっていくと思います。ルールと言ってますけど簡単なことですよ。まずは、ここで紹介したことを頭に入れて試してみて欲しいですね。
B:ありがとうございます。前回の「色」についてもそうですが「柄」というのもお客様が非常に着目されるテーマだと思います。私も基本ルールを踏まえた上でTPOに応じたもの且つ、お客様の魅力を最大限に引き出せる柄の生地をご提案していこうと思います。
Profile
森岡 弘
スタイリスト/ファッションディレクター
大学を卒業後、婦人画報社(現ハースト婦人画報社)に入社し、男性ファッション誌、メンズクラブ編集部にてファッションエディターとして従事。10年間勤務した同社を退社後、独立。現在は、芸能人、スポーツ選手、政治家、起業家、文化人など著名人のスタイリングを行う一方、広告ビジュアルやカタログ制作のディレクション、スタイリングを手がけるなど幅広く活躍する。
主な活動内容の紹介
- 雑誌
- Pen、Esquire、GQ、BRUTUS、Casa BRUTUS、ENGINE、MEN' NON NO G、NAVI、TITLE、etc
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- 伊勢丹、高島屋、ユナイテッドアローズ、デザインワークス、エストネーション、 六本木ヒルズ、表参道ヒルズ、東京ミッドタウン、DAKS、ピエールカルダン、ヒューゴ ボス、ダンヒル、etc
- 芸能・音楽・スポーツ
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- イベント(プロデュース&スタイリング)
- Audi Meets Loewe、2005年・2007年東京モーターショー(Audi)、梅田阪急、日本橋三越、SEVENSEAS&LUIGI BORRELLI
- ウェアデザイン
- STARFLYER、Audi、BEACON TOWER Residence